Libya: Records of the U.S. Department of State, 1796-1885
本コレクションは米国国立公文書館が所蔵する国務省一般記録群(RG59)の中から、米国国務省のリビア関係文書約7,100ページを収録するものです。収録文書は米国国務省在外公館の外交官が国務省と交わした往復書簡です。
現在のリビアの首都トリポリ一帯は18世紀末の時点で、オスマン帝国の軍人アフマド・カラマンリーによって18世紀初頭に始められたカラマンリー朝の支配下に置かれていました。1796年にカラマンリー朝政府は米国と平和友好条約を締結し、初代トリポリ領事にはジェイムズ・カスカート(James Leander Cathcart)が就任しました。
しかし友好条約を締結したのも束の間、北アフリカ沿岸で海賊が欧米の商船を襲撃し、通行料として身代金を要求する事件が多発し、1801年に両国は戦争状態に突入、〈バーバリー戦争〉と呼ばれるこの戦争は米国史上初の外国への軍事介入となりました。戦争は講和条約が締結された1805年まで続きました。戦争中、カスカートはトリポリを離れイタリアに拠点を移しました。
1835年にはカラマンリー朝が崩壊し、オスマン帝国の直接支配が復活します。この頃、イスラームの神秘主義(スーフィズム)を奉じるサヌーシー教団が創設され、北アフリカで政治勢力として台頭します。サヌーシー教団はその後の植民地支配に対する抵抗とナショナリズム運動において重要な役割を演じるようになります。
本コレクションは1796から1885年までの約90年間にわたる、主としてトリポリ領事館と国務省との往復文書を収録します。トリポリ以外では地中海のマルタ島からの発信文書が収録されています。また、バーバリー戦争期はイタリアのリヴォルノ(英語名 Leghorn)から発信されました。
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関連分野
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