Refugees, Relief, and Resettlement: The Early Cold War and Decolonization
難民・強制移動アーカイブは現在の難民問題の起源を20世紀半ばの時期に置き、同時代の一次史料を収録するものですが、1930年代から第二次大戦を経て1950年代までの時期に焦点を当てる第1集「第二次世界大戦期」に続き、第2集では1940年代後半から1970年代にかけての初期冷戦と脱植民地化の時代に焦点を当てます。
西側自由主義陣営と東側共産主義陣営が対峙した冷戦時代、アジアやアフリカの諸地域では東西両陣営の間でいわゆる代理戦争が繰り広げられました。これに伴い、第二次大戦前後の時代におけるユダヤ人の移住に代表される大量の国外移住から、戦火を逃れて難民キャンプに避難する形態へ、難民発生の様態が変わりました。
冷戦時代は民族解放運動、脱植民地化運動の時代でもありました。これらの運動は様々な部族、民族、宗派によって推進されましたが、独立後の政治体制をめぐり部族、民族、宗派間で対立が発生し、そこに米ソが介入することで紛争が複雑化し、多くの人々が居住地を追われ難民化しました。
第2集では、英国政府(外務省、植民地省等)、海外事業運営篤志団アメリカ協議会(American Council of Voluntary Agencies for Foreign Service)、米国連邦控訴裁判所の文書を通じて、冷戦と脱植民地化の時代における難民の発生と国際社会の対応を明らかにします。
具体的に取り上げられるのはイギリスのインド撤退、インド・パキスタン分離独立、朝鮮戦争、インドシナ戦争、アルジェリア戦争、ハンガリー動乱、プラハの春、パレスチナ紛争、アンゴラ内戦等の事例です。
* 第1集:第二次世界大戦期 もあわせてご検討ください。
《収録コレクション(予定)》
英国政府難民関係文書
Refugees Records
- 原資料所蔵機関:英国国立公文書館
- 期間:1939-1975年
- ページ数:約20万ページ
外務省一般政務文書他、英国政府機関の難民関係文書を収録します。東欧の共産主義体制からの亡命者、独立後のアジア、中東、アフリカの地域における紛争で戦火を逃れた人々を扱います。
海外事業運営篤志団アメリカ協議会記録選集
Selected Records of the American Council of Voluntary Agencies for Foreign Service
- 原資料所蔵機関:ラトガース大学
- 期間:1939-1975年
- ページ数:約14万ページ
海外救援事業に関わる諸団体の連携協力、共同計画策定、情報交換を目的として1943年に創設された海外事業運営篤志団アメリカ協議会の理事会の議事録、覚書等の内部文書を収録します。
米国連邦控訴裁判所 難民・亡命者関係 控訴趣意書
Briefs Filed with Various Circuits of the U.S. Federal Appeals Courts on Refugees and Asylum
- 原資料所蔵機関:ニューヨーク市法曹協会
- 期間:1950-1977年
- ページ数:約4万ページ
連邦控訴裁判所で争われた米国の難民・亡命政策に関わる裁判に提出された控訴趣意書。冷戦期米国の難民・亡命政策に光を当てる貴重な史料です。
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関連分野
- ヨーロッパ研究
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- 人権・移民法