ホーム > ユーザーインタビュー > 岩瀬 由佳
ホーム > ユーザーインタビュー > 岩瀬 由佳
東洋大学社会学部国際社会学科 教授
実施日:2017年8月7日
機 関:東洋大学
協 力:紀伊國屋書店
トピック: The Illustrated London News Historical Archive
今日は、昨年度末に東洋大学様に導入いただいた小社Galeのデータベース、『イラストレイテッド・ロンドン・ニュース』歴史アーカイブ に関して、導入に向けて数年に亘り申請して下さった岩瀬由佳先生に『イラストレイテッド・ロンドン・ニュース』(ILN)の魅力、研究資料としての有用性について、研究者の観点からお話をお聞きする機会をいただきました。本論に入る前に、これまでの先生の研究の履歴と現在の研究テーマを簡単にご紹介ください。
出身校のお茶の水女子大の修士時代は、アメリカ文学を専攻していました。主要な研究テーマはポール・ボウルズ(Paul Bowles)です。彼の一番有名な作品は『シェルタリング・スカイ』でしょう。ベルナルド・ベルトリッチ(Bernardo Bertolucci)監督によって映画化されたことでも有名ですね。アメリカ文学の世界では、伝統的にへミングウェイ(Ernest Hemingway)に代表されるような男性的な作品が受け入れられる傾向があったと考えられますが、ポール・ボウルズはアメリカを抜け出し、モロッコを拠点に作家活動を展開した異色の作家です。ボウルズは同性愛者だったのですが、妻のジェイン・ボウルズ(Jane Bowles)も作家で、彼女も同性愛者でした。当時としてはかなり変わった作家夫婦だったことは確かですね。ボウルズを研究テーマに選んでいたということもあって、留学するならアメリカよりもヨーロッパの方がよいのでは、と考えて、イギリスを留学先に選びました。留学先のロンドン大学でもポール・ボウルズを研究しようと思っていたのですが、指導教官の先生の急病のため、メアリー・コンデ(Mary Condé)先生が私を引き取って下さいました。そのコンデ先生のゼミで取り上げていたのがカリブ海地域の女性作家だったのです。これが、カリブ海地域の作家との最初の出会いです。今にして思えば運命的な出会いでした。その頃はポストコロニアル批評(Post-Colonial Criticism)が一大ブームになっていましたが、カリブ海地域の作家への関心はその後も消えることなく、今にいたるまでこの地域の文学、文化、社会を研究テーマとしています。カリブ海地域は、歴史的にはアフリカから黒人たちが奴隷として連れてこられた地域であり、奴隷制廃止後は、中国やインドからクーリー(Coolie)と呼ばれる低賃金労働者が渡ってくるなど、様々な人種と文化が混交している地域です。旧宗主国であるイギリス、フランス、オランダの言語が残り、言語的にも多様です。そこが非常に面白いところですが、私の研究テーマは、旧イギリス植民地(ジャマイカ、トリニダード・トバゴ、アンティグア・バーブーダ、ガイアナなど)の女性作家、具体的な名前を挙げれば、ジャマイカ・キンケイド(Jamaica Kincaid)、アーナ・ブロッドバー(Erna Brodber)、エリザベス・ヌニェス(Elizabeth Nunez)、ポーリン・メルヴィル(Pauline Melville)などです。これらの作家は活動拠点も多様で、アメリカやイギリスで移民作家として活動している作家もいます。カリブ海地域、旧宗主国のイギリス、地理的に近いアメリカの3点を地政学的な意味あいからもトライアングルにみたて、俯瞰的な視点から考察を進めています。
先生の本領域はカリブ海地域ということですね。
そうですね。でも、カリブ海地域は、私たちが想像する以上に旧宗主国の影響が強いことが分かります。特にイギリス領植民地は1960年代に独立を達成しますが、独立後もイギリスの価値観が残存しました。イギリス本国では形骸化しているようなヴィクトリア朝の中産階級的な考え方が温存されてきたのです。それを呪縛と感じて、そこから逃げるようにアメリカやカナダに渡る作家もいます。
私どもがデータベースや資料を案内するとき、事前に大学のホームページで研究者の方々の研究分野を調べます。この先生であれば、この資料が関係するだろうと予想を立てるのです。岩瀬先生の研究分野を見れば、私なら案内するべき資料はないと、素通りするでしょう(笑)。少なくとも、『イラストレイテッド・ロンドン・ニュース』歴史アーカイブを案内しようとは思いません。今、カリブ海地域にヴィクトリア朝の中産階級の価値観が温存されているとのお話をされましたが、その部分がILNとかろうじて関係してくるかな、と思いますが、それ以外の点では、私自身の中では両者は結びつきません。そもそも、両者はどのように結びつくのでしょうか。
ILNに興味を持ち始めたきっかけは、クリスマスの歴史を特集したテレビ番組でILNの挿絵が使われていたことでした
私にとっても、最初からILNとカリブ海地域の文学という自分の研究テーマが結びついていたわけではありません。あるテレビ番組、確か『世界ふしぎ発見!』ではなかったかと思いますが、クリスマスの歴史特集を放送していました。クリスマスのときにクリスマス・ツリーを飾りますが、番組によれば、実はヴィクトリア女王が最初に宮廷で飾り始め、それが民衆に広がって、クリスマス・ツリーを飾って家族で祝うというのが恒例になったとのことでした。その時、興味深い挿絵が出ていたのですね。クレジットに「Illustrated London News」とあったのを急いでメモしました。
番組の中で『イラストレイテッド・ロンドン・ニュース』が挿絵の出典とされていたのですか。
色々調べてみると、イギリスの旧植民地であるカリブ海地域のことを調べる資料としてILNが十分に役立つことが分かりました
そうです。それで、このデータベースのトライアルを申込み、色々と調べてみると、イギリスの奴隷制反対運動の記事なども見つかりました。他にも、ジャマイカやトリニダード・トバゴなど、イギリスの植民地を取り上げた記事がありました。そういう過程を経て、ILNのデータベースとカリブ海地域が結びついたのです。実際、カリブ海地域というのは、ヴィクトリア女王の人気がすでに存命中から高い地域でした。背景には奴隷制廃止があります。カリブ海地域で奴隷制が法的に廃止されたのはヴィクトリア女王の即位前ですが、奴隷制廃止が実施に移されるのは即位後です。そこから、自由を付与した女王としてのヴィクトリア女王という表象が形成され、植民地での人気が高まります。女王の誕生日にお祝いをするという風習も生まれました。この風習は20世紀までカリブ海地域では続いたようです。今も続いているかどうかは、分かりませんが。こうして、ILNがカリブ海地域のことを調べる資料として十分に役立つことが分かり、このデータベースに関心を持つようになりました。
Queen Victoria’s Happy Christmases (December 7, 1987)
The Queen’s Christmas Tree (December 30, 1899)
ヴィクトリア女王と言えば、NHKで『女王ヴィクトリア』という番組が始まりました。
私も見ました。イギリスでも人気の高い歴史ドラマのようです。
即位したのは確か18歳のときで、若い女王というイメージが人気の要因になったということもあったかも知れません。
「家族」というモチーフを大切にしていたので、植民地も大英帝国の家族であり、自分はその母であるというイメージをヴィクトリア自身が演出していたと考えられます。植民地の人々もその一員であることに誇りを覚えていたという記述が実際に残っています。
ILNは女王の国内行幸や王族の結婚式の際には特集を組んで大きく取り上げています。イギリスという国家を担う出版物であるとの性格を持っていたのではないかと思います。
昨日もNHKの『女王ヴィクトリア』を見ていたら、ジャマイカに関する法案をめぐってトーリー党とホイッグ党が議会で論戦するというシーンがありました。アルバート公が奴隷制に異を唱える印象的なシーンも登場していましたしね。
ILNの紙媒体をお使いになったのは、いつ頃ですか。
ILNの電子版は検索語がカラーでハイライト表示されるので、該当箇所を見つけやすく便利です
先日、偶然、復刻版での提供を受けたのが紙媒体に触れた最初です。電子版をトライアルで使った方が早いですね。電子版は、たとえば ”Queen Victoria” で検索すると、画面に検索語がカラーでハイライト表示されるので、該当箇所が非常に見つけやすく、便利です。それに比べて、紙媒体は、研究者としてはとても嬉しいのですが、重くて(笑)、虫眼鏡がないと使えないほど文字が小さい。そこがつらいです。その点、電子版は拡大表示もできますし、探している単語やフレーズをすぐ見つけやすいですし、そこが最大のメリットではないかと思います。昔、こういうデータベースがなかった時代に、チョコレートの歴史を調べるために、本や雑誌の本文に定規を当てながら一行一行辿って、”chocolate” という単語が使われていないか調べた先生のお話を伺ったことがありますが、隔世の感があります。ダウンロードや印刷ができるのも嬉しいですね。
クリスマス・ツリーの例を出していただきましたが、カリブ海地域に関する興味深い記事はありましたか。
そうですね。他には、クリスマス・プディングに関する記事がありました。クリスマス・プディングの原材料の一つがサトウキビで、それをトリニダード・トバゴで精糖しているということを紹介している記事でした。大英帝国の様々な地域の物産が集められて、クリスマス・プディングが出来上がっているということが分かります。伝統的なイギリスのクリスマス料理であるプディングが、実のところ、植民地各地からその材料が取り寄せられて、作られているという、さながら一つの料理が大英帝国そのものを示しているような絵です。被植民者の親英派から見れば、「自分たちも大英帝国の一員として寄与している」ということになるでしょうし、反英派からみれば、植民地主義支配によって搾取されているという見方もできて、色々なことを考えさせてくれる面白い記事だと思います。
All-British: An Empire Christmas Pudding and Sources of Its Ingredients(December 12, 1931)
The All-British Christmas “Table”: The Home … Its Home “Setting,” and Contributory Industries (December 12, 1931)
The British Empire as the World’s Cornucopia
(December 12, 1931)
Wealth of Empire (December 12, 1931)
なるほど。
その他にはノッティング・ヒルに関する記事がありました。ノッティング・ヒルは毎年8月末に開催されるカーニバルで有名な街です。ノッティング・ヒルといえば、ジュリア・ロバーツ主演の『ノッティング・ヒルの恋人』が有名で、お洒落な高級住宅街ですが、昔はカリブ系の移民が多く住んでいた町です。第二次大戦後のイギリスは、労働力不足を解消する政策の一環として、旧植民地の人々が移住すれば国籍を与えるという移民奨励策を取っていました。ウィンドラッシュ号という移民船がイギリスに着いたのは1948年です。以来、カリブ海地域の人々がこぞってイギリスへ移住しました。彼らの多くが住んだのがノッティング・ヒルです。経済的にも貧しいカリブ系移民は差別も受けましたが、勤勉であるため、他のアフリカ系移民らとの関係も悪くなります。警察が出動する騒乱も発生しました。そのような状況の中で、文化的アイデンティティを表現する手段として始まったのがノッティング・ヒル・カーニバルです。この記事はトリニダード・トバゴのカーニバルを取り上げた記事ですが、ノッティング・ヒル・カーニバルのルーツは、トリニダード・トバゴにあります。
Trinidad Walk on the Wild Side(June 5, 1989)
Trinidad Walk on the Wild Side (June 5, 1989)
日本でも、ブラジル人の多い群馬県の大泉町では、サンバ・カーニバルが開かれますが、それと同じようなものですね。
そうですね。ノッティング・ヒルのカーニバルはカリブ海出身の人々が旧宗主国で自分たちの文化的アイデンティティを表現するために始まったものですが、今ではイギリスの国民的行事の一つになっていて、イギリスの1年間の行事予定に堂々と入っています。カリブ系の人々だけでなく、イギリス人やアフリカ系の人々など、人種も多様な国際的なカーニバルです。
August Highlights: A focus on forthcoming events in the capital (August 30, 1986)
Carnival Doubt after Riots(October 31, 1987)
プディングの例やノッティング・ヒル・カーニバルの例を見ても、先生は大英帝国の遺産をILNの中に探していらっしゃるような感じを受けます。
ILNのような文学テキストの周辺資料にも目配りすることが、実は文学テキストの新たな読解を提示することに繋がる
そうですね。遺産と言っても、負の遺産なのかも知れませんが。プディングの原材料もノッティング・ヒル・カーニバルの由来も、それ自体は文学とは関わりがありません。文学研究で最も重要なことはテキストの精読作業ですが、テキスト分析だけをやっていれば、文学研究が完結するというわけではありません。お茶の水大学の大学院生だったときに講義を聴講していた富山太佳夫先生が、文学テキストの精読はもちろん重要ではあるが、一見したところ文学とは無関係に思われるものにも目配りし、そのなかから様々なものをリンクさせながら分析するという回り道を経ることが、実は文学テキストの新たな読解を提示することに繋がる、というようなことをおっしゃっていました。文学と一見無関係に思われるものとは、歴史や社会や心理学、あるいはカルチュラル・スタディーズということになるかも知れません。そのような研究観に影響を受けて、私も文学テキストの周辺資料に当たっていく中で、今回出会ったのがILNということになります。
西南学院大学の加藤洋介先生にインタビューさせていただいいたとき、文学研究者には歴史資料を使う人と使わない人がいて、歴史的アプローチをする指導教官からそのようなトレーニングを受けてきたかどうかによってそのような相違が生まれる、とおっしゃっていましたが、その分類にしたがえば、岩瀬先生は歴史資料を使うタイプの文学研究者ということになりますね。
そうですね。実は私は絵画も好きで、研究資料として使うことがあります。これは、ヴィクトリア女王が大好きで、亡くなるときまで寝室に飾っていたと言われている、大変有名な絵です。マングローブ、パイナップルやメロンなど、当時としては珍しい果物や植物が描かれていますが、これらの原産地がすべてイギリスの植民地なのです。中心にはヴィクトリア女王の家族が、その周囲は植民地由来の植物や果物が描かれています。植民地が大英帝国を背後から支えているという構図が暗喩として見えてきます。そのようなメタファーを絵画から読み解くことにも興味があります。
The World’s Greatest Paintings (June 29, 1985)
その絵は何という画家が描いたのですか。
フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター(Franz Xaver Winterhalter)です。
ILNには、国王の即位式や万国博覧会のような行事に植民地の人々も招待され、式典に参加しているという挿絵があります。植民地の人々も大英帝国を支えているというイメージ操作が非常に上手いですね。
本当にそうですね。
先生のお話を伺うと、どうも私が予想していたこととは異なるようです。予想していたのは、カリブ海地域の植民地を描いた挿絵を取り上げて、それを文学の背景資料として使うとか、挿絵に潜む植民地に対する宗主国独自の視線を探っていらっしゃるのかな、と思っていました。
そういった典型的な植民地表象の挿絵ももちろんILNにはあります。黒人がバナナを頭に載せている挿絵のようなものです。日本で言えば着物を着ている芸者の挿絵です。そのような典型的な西欧の視点からみたエキゾチズムの関心から想起される挿絵も確かにありますね。
でも、先生の関心の対象はそこにはないわけですね。
そうですね。そのような挿絵は、手付かずの自然とか、文明化されていない未開の人々のような、野蛮、未熟、非文明的などの劣等表象を具現化したもので、研究者としては食指が動きません。研究者として読み解き甲斐のある挿絵となると、さきほど例に挙げたような写真になります。ILNの大きな魅力は、私たち研究者に読解を促すようなメタファーに満ちた挿絵が豊富にあるということです。
カリブ海地域を描いた挿絵をお使いになっているものとばかり思っていましたものですから、どんな挿絵に興味をもっていらっしゃるのだろうと、思っていました。
私が関心を持っているのはカリブ海地域そのものを描いたものではありません。
ILNはアフリカやインドなど、他の旧イギリス植民地の文学の研究者にも十分に役立つと思います
カリブ海地域の文学を研究している人もILNを使えるということは分かりましたが、アフリカやインドなど、他の旧イギリス植民地の文学を研究している人も十分に役立つということでしょうか。
十分に使えると思います。インドやアフリカに関する記事もたくさん出ていました。
お使いになっている人はいますか。
ILNはファッションや芝居から、建築、鉄道、ツーリズムまで、一見無関係に思える分野でも使える資料です
『イラストレイテッド・ロンドン・ニュース』という単語を使って科学研究費データベースで検索すると、関連する研究が数件ヒットします。大英帝国のファッションとか、日本のイメージなどのテーマです。比較研究の中で使っていらっしゃる人が多いかも知れません。ファッションや芝居から、建築、鉄道、ツーリズムまで、ILNは一見無関係に思える分野でも使える資料だということが分かります。
今日ご紹介いただいた絵は学生も興味を持つと思いますが、授業でILNをお使いになることはありますか。
ILNは歴史的事象に関するイメージを喚起するための格好の教材になるかも知れません
学部の学生には少し難しいかも知れませんね。今の学生と接していると、言葉でイメージを喚起するのが難しくなっているのではないか、と感じます。そのような学生にとってはILNの挿絵は歴史的事象に関するイメージを喚起するための格好の教材になるのではないでしょうか。見ただけで分かるというのは大きいですね。ILNではないのですが、エリザベス女王が毎年クリスマスの日にイギリス連邦の人々に向けてメッセージを送るのですが、YouTubeでも見ることができます。女王は、リオ・デジャネイロ・オリンピックでの英連邦の国々の選手の活躍に触れたりしています。動画の中に子どもの合唱団が出ていて、そこにはインド人や黒人など、様々な人種の子どもがいます。こういう動画を学生に見せて、そこからどんなことを感じるか、ヒントを与えながら訊くと、イギリスというのは昔から植民地があって、旧宗主国と旧植民地の関係性がいまだに続いているということを、歴史的知識がなくても、感覚として理解してくれます。
ILNは専属の挿絵画家を抱えていましたが、特に関心を寄せている画家はいますか。
特に関心がある挿絵画家がいるわけではありませんが、児童文学の研究者であれば、ケイト・グリーナウェイ(Kate Greenaway)の挿絵に関心を持つ方が多いのではないでしょうか。子どもの絵では人気のある女性作家ですね。
ILNには、ある時期から写真も掲載されるようになります。写真は対象をありのままに写すのに対して、挿絵は時に恣意的な描き方をすることもありますが、その辺りの相違はどのようにお感じになりましたか。
趣のあるのはやはり挿絵の方ですね。その背後にあるものを読み解こうという気にさせてくれます。
ILNのオンライン版の機能面について、何かお気づきのことはありますか。
詳細検索画面(Advanced Search)は、いろいろ細かいことができるのですか。
様々な検索条件の設定が可能です。年代の絞込みや検索範囲の指定です。キャプションだけを検索範囲に指定することもできます。
ダウンロードも短時間で出来て、ストレスを感じることがありません。
最後にILNの魅力、これを研究資料として使う醍醐味について、メッセージをお願いします。
文学テキストの背後にある歴史的、社会的、文化的背景を知るための資料として
『イラストレイテッド・ロンドン・ニュース』は第一級の価値を持っています
使いながらいろいろなところに関心が広がってゆくのが最大の魅力です。最初は探したいものがあってデータベースにログインするわけですが、使っているうちに思ってもみなかったところに連れてゆかれるという感覚を持っています。興味を触発してくれる、いろんなところに連れて行ってくれる不思議な力を持っています。使い始めると、止まらなくなって、他のことができなくなり、かなりキケンです(笑)。データベースは本来、時間を節約してくれるはずだったのですが・・・・・・・。先ほども言いましたが、文学研究者にとっては文学テキストが大切で、テキストの読解が最も重要になるわけですが、それに加えて、文学テキストの背後にある歴史的、社会的、文化的背景を押さえておかないと正確な読みには繋がりません。そのような背景を知るための資料として、私の専門のカリブ海地域の文学に引き付けて言えば、宗主国イギリスと植民地の関係性を様々な視点から示唆してくれる資料として、『イラストレイテッド・ロンドン・ニュース』は第一級の価値を持っています。本当にいろんなことを教えてくれる資料です。
※このインタビューを行なうに際して、紀伊國屋書店様のご協力をいただきました。ここに記して感謝いたします。
ゲストのプロフィール
岩瀬由佳 (いわせ・ゆか)
最終学歴:
お茶の水女子大学大学院 博士後期課程 (単位取得済み)退学
MA in Literature, Culture and Modernity, University of London (QMW College) 修了
略歴:
東洋大学社会学部 准教授
著著・論文:
ほか多数