The Making of the Modern World, Part I: The Goldsmiths'-Kress Library of Economic Literature, 1450-1850
経済学史・経済史古典文献集成(MOMW)シリーズ第1部はロンドン大学ゴールドスミス文庫とハーバード大学クレス文庫の2大文庫をデジタル化、15世紀半ばから1850年までの刊行物約67,000冊を収録します。MOMWの4シリーズ中最大の分量をほこる第1部の原本を提供する両文庫はともに、20世紀前半のイギリス経済学界の重鎮、ハーバート・フォックスウェル(Herbert Foxwell, 1849-1936)が生涯を捧げて収集した書籍やパンレフットのコレクションをベースとして形成されたものです。
両文庫の特色として、経済学史・社会経済史の全体を熟知したコレクター(フォックスウェル)による非常に質の高いコレクションであることと、経済思想史・社会思想史・政治思想史にかかわる著作のみならず、様々な政治主張や論争を繰り広げた無名・匿名のパンフレット・陳情書、農工業の手引書、実用書、技術書、説教、演説、会社史、金融史、地方史、都市計画、探検記、百科事典など、およそ人の営み全般に関わる資料が網羅的に集められていること、そして英語文献に限らず、フランス語、ドイツ語など西欧語の文献全般が集められていることなどが挙げられます。
なお、本第1部の収録年が1850年で止まっているのは、フォックスウェル自身の収集方針によるものですが、The Making of Modern World の 第2部、第3部、第4部 ではその制約を超えて、他の所蔵機関の資料も併せつつ、20世紀半ばまで収録範囲を広げています。
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(約40分・チャプターあり、スライドはこちら)
《ロンドン大学ゴールドスミス文庫》
ケンブリッジ大学等で教鞭を取り、『エコノミック・ジャーナル』の創刊やイギリス経済学会の創設に関わり、学会の会長を歴任した20世紀前半のイギリス経済学界の重鎮ハーバート・フォックスウェルが生涯を捧げて収集した書籍やパンレフットのコレクションをベースとして形成されたものです。フォックスウェルが四半世紀をかけて収集したコレクションをゴールドスミス商会が買い取り、ロンドン大学に寄贈したため、「ゴールドスミス文庫」と呼ばれています。
フォックスウェルが売却を決意した当初、イギリス国内では買い手が見つからずアメリカに売却されようとしていたとき、イギリス経済学会が国外流出の危機を『タイムズ』紙上で訴え、『タイムズ』も国内有志による購入を呼びかける社説を掲載、それによってゴールドスミス商会が名乗りを上げ国外流出が阻止されたというエピソードは有名です。
ゴールドスミス文庫は、その後もフォックスウェルの指導の下、ゴールドスミス商会からの助成や図書館予算によりコレクションの拡充に努めます。20世紀を代表する経済学者で、自身も稀覯書に対する造詣が深かったケインズはフォックスウェル追悼記事の中で、ゴールドスミス文庫をフォックスウェル畢生のライフワークの賜物として、惜しみなく讃えています。
《ハーバード大学クレス文庫》
自身のコレクションを売却したフォックスウェルは第二のコレクション収集に情熱を傾けます。30年間ほど費やして収集されたコレクションは百貨店を経営するクレス商会の会長クロード・ワシントン・クレスの寄付によりハーバード大学ベーカー図書館に寄贈されました。クレス文庫は、経営史、経済史の分野が特に充実しています。
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