Seventeenth and Eighteenth Century Nichols Newspapers Collection
17世紀~18世紀の新聞・定期刊行物の他、パンフレットやブロードサイドなど計400タイトル以上を含む、オックスフォード大学ボードリアン図書館所蔵の初期イギリス新聞・定期刊行物コレクション、ニコルズ・コレクションをデジタル化したデータベースです。デジタル化に際しては、原紙を直接スキャニングし、高画質で再現しています。
近世イギリス定期刊行物を収録するデータベースとしては、『大英図書館バーニー旧蔵17~18世紀新聞コレクション』がありますが、ニコルズ・コレクションはバーニー・コレクションと重複するタイトルもある一方で、バーニーに含まれないタイトルもあること、タイトルが重複する場合でも異なる号を収録している場合があること、ニコルズはじめ旧蔵者による原資料への書き込みが残されていることなど、バーニー・コレクションにはない資料的価値を有しています。ニコルズもバーニーも単独では完結するものではなく、いずれも近世イギリス定期刊行物を構成する重要なパートをなし、相互に補完する関係にあります。
ニコルズ・コレクションはこれまでマイクロフォームを含め、いかなる形でも刊行されたことないだけでなく、ボードリアン図書館でも利用が制限され、研究者が資料にアクセスすることは困難を極めました。そのため、ニコルズ・コレクションを全面的に活用した研究はこれまでのところ皆無です。今回始めて日の目をみるニコルズ・コレクションは、近世イギリスの政治史、社会史、文学史、思想史、出版史に新たな事実と視点を提供するものです。
【関連エッセイ】ジュリアン・プーリー(レスター大学)「ボードリアン図書館所蔵ニコルズ新聞コレクションについて」(日本語訳)
《バーニー/ニコルズ初期英国新聞コレクション*》ウェビナー録画を見る
※ ボードリアン図書館所蔵 ニコルズ収集 17世紀~18世紀 英国新聞コレクションの他に、大英図書館所蔵 バーニー収集 17世紀~18世紀 英国新聞コレクションの2商品を紹介するウェビナーの録画です(約16分・チャプターあり・スライドはこちら)
《主な収録紙》
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Athenian Mercury アセニアン協会が週2 回刊行。読者の悩みに答える人生相談欄を取り入れた最初の新聞と言われる。ジョン・ダントンが創刊。ロンドンのコーヒーハウスで読まれた新聞・雑誌の中で最も有名なもの。
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The Flying-Post / The Post Boy / Post-Man and the Historical Account 出版検閲法失効直後に発行された新聞の中で最も成功した新聞。検閲法失効後の三大紙。
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Dawks's News Letter 活字出版を対象にした検閲法をすり抜けるため、手書きのニューズレターが発行されていたが、検閲法失効後、イチャボド・ドークスが手書きの文字風の活字を使って発行したニューズレター。
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Lloyd’s News 今日のロイズ保険機構の起源であるロイズ・コーヒー・ハウスに集う客向けに発行された定期刊行物。
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The Daily Courant イギリス最初の日刊紙。サミュエル・バックリー編集。
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The London Post, with Intelligence Foreign and Domestick / The Flying-Post and Medley / The Flying Post [1714] / The Whitehall Evening Post / The Daily Post ダニエル・デフォーが発行・編集に関わる。
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The Evening Post イギリス最初の夕刊紙。
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The Tatler リチャード・スティール創刊。ニュース、政治から生活習慣、都市風俗、道徳、文芸評、劇評、広告まで世事万般を取り上げた。
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The Female Tatler 女性専門誌。女性の教育、ファッション、マナーを取り上げ、女性の権利が顧みられない状況を批判。
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The Spectator 18 世紀を代表する雑誌。時評・文芸誌。タトラー廃刊後にスティールがジョゼフ・アディソンと共同で創刊。アンブローズ・フィリップスやアレクサンダー・ポープら同時代の大物文人も寄稿。
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The St. James's Evening-Post 18 世紀前半の有力夕刊紙。
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Applebee’s Original Weekly Journal デフォーが寄稿。
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The London Journal 古代ローマの政治家の名前をペンネームにして、政府の汚職や検閲復活の試みを批判した「カトーの手紙」を掲載。
《ジョン・ニコルズについて》
ジョン・ニコルズ(1745-1826)は、ロンドンの印刷業者で、書籍印刷業組合の会長も務める傍ら、著作活動も行なったロンドン出版業界の重鎮でした。印刷業者としては、サミュエル・ジョンソンの『イギリス詩人伝』を手がける一方、『ジェントルマンズ・マガジン』の共同編集者も歴任、出版界、文芸界を話題にした『文壇秘話』や『文壇素描』等の著述も残しました。
自身の著作活動の参考資料として定期刊行物が不可欠と考えたニコルズは、同時代や過去の定期刊行物を精力的に収集しました。ニコルズは、収集したコレクションを伝記や文芸物の著述の参考資料として使うのみならず、同時代の人々の利用にも惜しみなく供しました。そうしたニコルズの元には、引き寄せられるように貴重なコレクションが集まったと言われています。本コレクションは、刊行物の価値に対する確かな眼を持っていたニコルズが残した第一級の遺産です。
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